相続税ワンポイントアドバイス

文書作成日:2017/10/05


 死亡保険金は受取人の固有財産ですから、これを原資として代償金を支払う場合、受け取った側はみなし相続財産にはなりません。




 父が亡くなりました。遺産は、父名義の不動産(1億5000万円)、その他の財産(2億円)、相続人である三男が保険金受取人となっている生命保険(1億円)です。
 相続人は長男(=今回の相談者)、次男、三男の3人です。
 相続人3人で分割協議したところ、次のようにまとまりそうです。


  • @父名義の不動産は三男が全て相続する。

  • Aその他の財産は長男と次男が1億円ずつ相続する。

  • B三男が受け取った生命保険金を代償分割として長男と次男へ5000万円ずつ分ける。

 この場合、長男と次男が受け取った5000万円は、生命保険金を受け取ったものとして相続税を計算するのでしょうか?



 長男と次男は生命保険ではなく代償債権を相続により取得したため、みなし相続財産ではなく本来の財産として相続税が課税されます。




 相続に際して予め指定された保険金受取人が、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金を受け取った場合、みなし相続財産として相続税の対象となります。
 ただし非課税枠(500万円×法定相続人数)があります。
 つまり、生命保険金請求権は、予め指定された保険金受取人の固有の財産であり、例外を除き遺産分割の対象となりません。
 したがって、三男が代償金を払うために使用することも自由です。

 ここにいう、保険金受取人とは、保険契約に係る保険約款等の規定に基づいて保険金を受け取る権利を有する人をいいます(相基通3-11)。
 ただし、このような保険金受取人以外の人が現実に保険金を取得している場合において、保険金受取人の変更手続きがなされていなかったことについてやむを得ない事情があると認められる場合等、現実に保険金を取得したものがその保険金を取得することについて相当な理由があると認められるときは、その現実に保険金を取得した人が保険金受取人であるとされます(相基通3-12)。

 今回の場合、三男以外の相続人2人が生命保険金を受け取ることについて相当の理由があるとは認められず、あくまでも保険金受取人は三男ということになります。
 したがって、三男が受け取った生命保険金の中から相続人2人に各々5000万円を代償財産として交付したことになり、長男と次男は代償債権の5000万円を相続により取得したものとして相続税が課税されます。

 なお、三男につきましては、以下が課税価格となります。

  • ◆不動産+生命保険金(非課税枠控除)−交付した代償財産

  • =1億5000万円+8500万円(1億円−1500万円)−1億円(5000万円×2人)

  • =1億3500万円


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