相続税ワンポイントアドバイス

文書作成日:2017/12/05


 生命保険金の受取人は、経済的リスクや相続財産のバランスなどを考慮して決めるのがポイントです。




 先日、父が加入している生命保険の加入内容を家族で確認したところ、保険金の受取人がすべて母(配偶者)となっていました。 相続対策の一環として、まずは、すべて母となっている生命保険の受取人を見直しすることになりましたが、受取人を誰に指定するのが良いか、アドバイスをお願いします。




 生命保険金の受取人は、契約者が指定します。保険事故が発生する前であれば、保険期間中に変更することもできます。相続の発生により、契約上の受取人以外の人が保険金を受け取った場合は、その契約上の受取人から贈与により取得したことになりますので、お父様の生前に受取人を指定しておくことが重要です。




 相続を踏まえ、保険金受取人を指定する際のポイントは、以下の通りです。

  • ◆万が一の際に、経済的リスクを負う人を指定する。
     万が一の際の家族の生活費、相続の際の納税資金など、目的に応じて、受取人を指定しましょう。

  • ◆法定相続人で相続税がかかる人を指定する。
     生命保険の受取人に配偶者を指定されているケースは多いです。しかし、相続税の計算において、配偶者は税額の軽減(※1)があり、実際は、お子様など配偶者以外の相続人の方が相続税の負担が重くなるケースも多いです。そのため、保険金で相続税の支払いができるよう、納税負担が重い人、不動産や株式など現金化しにくい財産を多く取得する人を受取人に指定しておくことも相続対策の一つです。

  • ◆相続人において、引き継ぐ財産が少ない人を指定する。
     例えば、会社経営者の相続においては、後継者が財産を多く引き継ぐ傾向にあります。引き継ぐ財産のバランスを考慮し、後継者以外の相続人を保険金の受取人に指定することも有効です。

  • ◆祭祀承継者を指定する。
     お墓や仏壇の管理、法要の費用等、祭祀にかかる費用は結構負担も大きいため、祭祀承継者を保険金受取人に指定し、そういった費用を保険で準備しておくのも有効です。

  • ◆お世話になった人やあげたい人を指定する。
     生命保険は、みなし相続財産として、受取人固有の財産となります。例えば、お世話になった長男の嫁など、相続人でない人でも、保険で財産を残すことができます。但し、受取人に指定できる範囲(一般的には、配偶者および二親等以内の血族と定めている保険会社が多い)や、相続人以外の人が受け取った保険金には、生命保険の非課税枠(※2)の適用がないこと、相続税が2割加算(※3)されるなど、注意点もあります。
注)
(※1)配偶者の税額の軽減
 被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、1億6千万円 もしくは、配偶者の法定相続分(相続人が配偶者と子の場合は1/2)相当額の金額のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税はかからないという制度です。

(※2)生命保険の非課税枠
 被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。しかし、保険金については非課税枠があり、次の金額を越える部分が相続税の課税対象となります。
 500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
 相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。

(※3)相続税額の2割加算
 相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。


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